当てもなく歩き続けて、いい加減頭も冷えてきた。
でも、あの家に帰る気にはならない。
祖父母のところへ行こうか。
けれど……。
柚子は火傷で痛々しくなった手を見る。
こんな姿で行ったら、二人はびっくりするだろう。
きっと柚子を思って怒ってくれる。
けれど、そうすることであの瑶太に祖父母まで攻撃されてしまったらと思うと、足が進まない。
けれど、飛び出してきたせいで、お金もスマホすら持ってきていなかった。
あるのは破れたワンピースだけ。
「はあ……」
人間溜め込みすぎると何をしでかすか分からないものだ、と柚子は思った。
これまでずっと我慢してきたのに爆発してしまった。
夜の歩道橋の上で、自己嫌悪に陥りながら、下を走る車の流れを見ていた。
夜も遅くなってきたので、車通りは少ない。
「痛い……」
片手だけですんだが、かなりの火傷を負っている。
すぐに病院に行った方が良いレベルではないだろうか。
煽った自分が悪いのだが、痛いものは痛い。
痛すぎて、止まっていた涙がまた溢れてくる。
「見つけた」