世界大戦後、日本は大きな被害を受けた。

　復興には多大な時間と労力が必要とされると誰もが絶望の中にいた。


　そんな日本を救ったのが、それまで人に紛れ陰の中で生きてきたあやかし達。


　陰から陽の下へ出てきた彼らは、人間を魅了する美しい容姿と、人間ならざる能力を持って、戦後の日本の復興に大きな力となった。



　そして現代、あやかし達は政治、経済、芸能と、ありとあらゆる分野でその能力を発揮してその地位を確立した。


　あやかし達は時に人間の中から花嫁を選ぶ。

　見目麗しく地位も高い彼らに選ばれるのは、人間達にとっても、とても栄誉なことだった。


　あやかしにとっても花嫁は唯一無二の存在。
　本能がその者でなければ駄目だと告げるらしい。

　そんな花嫁は真綿で包むように、それはそれは大事に愛されることから、人間の女性が一度はなりたいと夢を見る。　


　しかしあやかしの中にも位が存在する。

　あやかしの中で最も強く美しいとされるのが、鬼である。

　戦後日本が急速に発展できたのも鬼の力によるものが大きいとされ、今や鬼は日本の政治経済を掌握する程までになった。


　鬼の花嫁。
　それに選ばれることは女性にとって最高の名誉と言えた。