舞台の上に白いYシャツに黒のパンツをはいた男性が1人でたっている。
扉が開く音を聞くと、ゆっくりとこちらに振り返った。
年齢は、30代前半のようにみえるが、10年前と変わらず優しい笑顔で一弘だとすぐにわかった。
「なんで。ここに?」
「おかえり。管理人のおじさんが里美がきたって教えくれてさ」
久しぶりに聞いた おかえりの一言。
別れた時より、少し声が低くなり、体型も筋肉がほどよくつき、すっかり大人の男性になっていた。
「ただいま。元気だったか?」
「うん、、。」
「そっか。本当はあの日、お前がこの街を去ってから、追いかけようとも思ってたけど、里美が戻ってくる日まで
ずっと待ってた。」
「そうだったの…?」
「これ。卒業証書。10年経ったけどさ。改めておめでとう。お前に渡そうと思って、先生から預かってたんだよ。送ってもよかったんだけど。やっぱり、直接渡したくて。」
「うん、ありがとう。」
あの時、言えなかった言葉を笑顔で伝える。
ずっと、とっといてくれたからか、キレイなままの卒業証書を受け取る。
優しい笑顔で見つめてくる彼に
メールや電話では連絡をとってたが、いざ顔をあわせて話すと気恥ずかしくなって、顔を伏せてしまう。
「屋上いかない?この学校で見れるのも、最後だろうから。」
夕日が窓から差し込んでる中、2人で階段を登っていると、不思議と学生時代に戻った気がした。
自然と差し出された手を私は握りかえした。
あの時と変わらず大きくて暖かくて優しい手。
屋上の扉を開くと、眩しい夕日の光が目にはいる。
「きれいね。」
「そうだろ。」
横で笑いかけながら答える。
「いつまで、この街にいるつもりなんだ?」
「うーん、まだ決めてない。暫くいようかなとは思うんだけど。」
「そっか。ならさ、俺ともう少しだけ、一緒にいない?」
「それって…。」
あの日、お前がこの街を去る日、言おうとした事は…。
好きだ。里美の事が。」
「私もずっと思ってた。なかなか言い出せなかったけど、、。好きだよ。今も。」
高校の時の悩んだ辛い日々も、全部気にならなくなり、ただ暖かい気持ちに包まれた。
そっと優しく抱きしめてくれる大きな腕の中で安心して目を閉じた。
離れてた距離が縮まり、やっと大きな一歩を踏み出せた気がした。
すると、「おー!里美さんと会えたか!一弘!!」
校庭から、こちらに向かって、祝福する管理人のおじさんの声がした。
「ばっ、いいところで…!」
ちょっと、顔を少し赤らめながら、焦ったようにいう一弘に少し笑ってしまった。
遠回りしたけど、私の居場所はやっぱり彼の隣がいい。
「帰ろう。一弘。」
「あぁ。そうだな。」
やっと、過去の自分から卒業できた気がした。
嫌いだった街の風景が大好きになっていた。
扉が開く音を聞くと、ゆっくりとこちらに振り返った。
年齢は、30代前半のようにみえるが、10年前と変わらず優しい笑顔で一弘だとすぐにわかった。
「なんで。ここに?」
「おかえり。管理人のおじさんが里美がきたって教えくれてさ」
久しぶりに聞いた おかえりの一言。
別れた時より、少し声が低くなり、体型も筋肉がほどよくつき、すっかり大人の男性になっていた。
「ただいま。元気だったか?」
「うん、、。」
「そっか。本当はあの日、お前がこの街を去ってから、追いかけようとも思ってたけど、里美が戻ってくる日まで
ずっと待ってた。」
「そうだったの…?」
「これ。卒業証書。10年経ったけどさ。改めておめでとう。お前に渡そうと思って、先生から預かってたんだよ。送ってもよかったんだけど。やっぱり、直接渡したくて。」
「うん、ありがとう。」
あの時、言えなかった言葉を笑顔で伝える。
ずっと、とっといてくれたからか、キレイなままの卒業証書を受け取る。
優しい笑顔で見つめてくる彼に
メールや電話では連絡をとってたが、いざ顔をあわせて話すと気恥ずかしくなって、顔を伏せてしまう。
「屋上いかない?この学校で見れるのも、最後だろうから。」
夕日が窓から差し込んでる中、2人で階段を登っていると、不思議と学生時代に戻った気がした。
自然と差し出された手を私は握りかえした。
あの時と変わらず大きくて暖かくて優しい手。
屋上の扉を開くと、眩しい夕日の光が目にはいる。
「きれいね。」
「そうだろ。」
横で笑いかけながら答える。
「いつまで、この街にいるつもりなんだ?」
「うーん、まだ決めてない。暫くいようかなとは思うんだけど。」
「そっか。ならさ、俺ともう少しだけ、一緒にいない?」
「それって…。」
あの日、お前がこの街を去る日、言おうとした事は…。
好きだ。里美の事が。」
「私もずっと思ってた。なかなか言い出せなかったけど、、。好きだよ。今も。」
高校の時の悩んだ辛い日々も、全部気にならなくなり、ただ暖かい気持ちに包まれた。
そっと優しく抱きしめてくれる大きな腕の中で安心して目を閉じた。
離れてた距離が縮まり、やっと大きな一歩を踏み出せた気がした。
すると、「おー!里美さんと会えたか!一弘!!」
校庭から、こちらに向かって、祝福する管理人のおじさんの声がした。
「ばっ、いいところで…!」
ちょっと、顔を少し赤らめながら、焦ったようにいう一弘に少し笑ってしまった。
遠回りしたけど、私の居場所はやっぱり彼の隣がいい。
「帰ろう。一弘。」
「あぁ。そうだな。」
やっと、過去の自分から卒業できた気がした。
嫌いだった街の風景が大好きになっていた。