そして、その日の夜。
3人で草むらに横になり、流れ星のシャワーを間近で見た。
村の明かりがほとんど届かない森は、星空がよく見えた。寝転がって見る夜空はどこかしこも、キラキラと光宝石のようだった。
流れ星はとても多く、数えられないぐらいに落ちてくる。3人は話すのも忘れて、流星群がみせる星空のショーを楽しんだのだった。
「ねぇ、時雨、ミキ。いつまでもこうやって3人で過ごせるといいね」
「そうだね」
「…………それは、いい願いだね」
いつもならば、ミキは明るく「当たり前だよ!」と答えるはずの話しだった。
けれど、その時のミキは何故かとても寂しげな声だったのに、時雨は気づいた。
「ミキ?」
時雨がミキに声を掛ける。時雨と薫に挟まれるように寝転がってたミキは、時雨の方を見て、少し苦笑したまま人差し指を立てて、自分の唇に当てた。「しー」という、静かにという意味だとわかり、時雨はそれ以上は何も言わなかった。
目を輝かせて星空を見つめる薫を、ミキはただ嬉しそうに眺めていた。
ミキは何を不安に思っているのか。
ミキは時々寂しそうな顔をするようになった。けれど、それは2人にバレないように隠れて見せていた表情だった。けれど、時雨は人の変化に敏感な所があったので、すぐにミキの異変にも気づいた。何度か心配して尋ねた事もあったけれど、ミキは「何でもないよ」と、笑うだけだった。
けれど、その不安が何だったのか。すぐにわかる事になった。
それは、時雨と薫が10歳になった頃だった。
「おい、どこに行くんだよ!森に行くだろ?」
「時雨。何で、森に行くの?」