今回のプラネタリウムは秋から冬へとかわる星空。そして、その中の星座の神話の話だった。星空に、感動しながらも彼はプラネタリウムを楽しんでいるのだろうかと気になり、ちらりと横顔に盗み見た。
 すると、彼はプラネタリウムの映像に夢中になってキラキラとした瞳で見つめていた。少し口を開けているのが集中している証拠のようだ。薫は、クスリと笑ってわざと彼の手をギュッと握りしめる。すると、ミキはこちらに気づいて「………すごいね!綺麗だし、話も面白いね」と、小さな声だったが興奮した口調で教えてくれた。

 神話は有名なアンドロメダ座の話だった。
 カシオペヤの娘、アンドロメダはとても美しい娘だった。両親にも愛されていたアンドロメダだったが、カシオペアは、あまりにも自慢してしまっていたため神々が嫉妬で怒ってしまう。そのため、怪物クジラの生け贄にしようとして捕らえられてしまったのだ。
 そんな時に、メドゥーサの首をとりペガススに乗って帰る途中のペルセウスが美しいアンドロメダを見つけて、怪物クジラを退治したという物語だった。
 その物語が気に入ったのか、ミキはとても夢中になって見ていた。そして、クジラを退治したペルセウスと聞いた時に、彼の手を握る力が強くなったのを薫は感じた。


 あっという間にもう少しでプラネタリウムも終わりという時間。
 最後は、星空の散歩という事で、星空をぐるぐると飛ぶような演出で終わった。
 ゆっくりと照明がつき、星空は消えていった。

 「はぁー楽しかったね」
 「…………」
 「ミキ?」
 「…………プラネタリウム楽しかった。星空は本物がいいけど、でも薫が言ったみたいに絵も出てくるし、どの星も雲に邪魔されないで見れる!そして、神話も楽しかった」
 「そんなに楽しかったんだ?」
 「うん!また見たい!」
 

 ミキはピョンッとソファから起きると、ニッコリと微笑みながらそう言った。
 そして、また薫の手を取って、ミキは薫の体を起こしてくれた。


 「それにね、アンドロメダは薫に似てたね」
 「え?………それはないよー綺麗なアンドロメダだよ?」
 「薫は綺麗だよ。そして、襲ってくるクジラから僕が守るんだっ」
 「頼りにしてるね、ミキ」


 そう言って2人は手を繋いだままプラネタリウムの余韻に浸り、会話を交わしながら歩き出した。