じいちゃんが本題に切り込むと、あやかしは「ああ、そうだった」と答えながら姿勢を正す。
よっぽどおにぎりが美味しかったのだろうか、急に礼儀正しい。



「俺の名前は東和(とうわ)。一千年前に出会った、貴族の女に名付けられた」

「一千年前⁉︎」

……と、思わず驚いてしまったけれど、人間のように老いる訳でもないあやかしなら、齢千年でもおかしくはないか。
一千年前と言ったら、平安時代?



「あやかしの存在すべきは本来はこの世ではないことは、当然分かっているね? 何か、この世から去れない理由があるのかな?」

じいちゃんが、神主っぽい感じのことをあやかしーー東和に尋ねると、東和は首を左右に振り、


「別に。時代の移り変わりを見ていくのが楽しいから、何となくこっちにいるだけ」

と答える。

何だ、それ。自由か。


「もしかしたらあの世にはこっちより楽しいことがたくさんあるかもしれないじゃない。さっさと自分のいるべき場所へ行きなさいよ」

「こら、(あおい)