じいちゃん曰く、信州と言えば野沢菜おにぎりらしい。
信州の人が全員野沢菜おにぎりを食べているかと聞かれれば絶対にそんなこともないのだけれど、じいちゃんが作るおにぎりは必ずこれだ。
子供の頃は、野沢菜の草っぽい感じがどうも好きになれなかったのだけれど、最近になってようやく美味しいと感じられるようになってきた。味に慣れてきただけかもしれないけれど。
このあやかしは私と違い、一口で野沢菜おにぎりを気に入ったらしい。
「ああ、美味かった」
おにぎりをぺろりと平らげたあやかしは、満足そうに笑う。
ちらりと見えた八重歯が、何だか犬っぽい。
「そうかい。それは良かった。腹が膨れたところで、まずは君の名前を聞いてもいいかな?」
信州の人が全員野沢菜おにぎりを食べているかと聞かれれば絶対にそんなこともないのだけれど、じいちゃんが作るおにぎりは必ずこれだ。
子供の頃は、野沢菜の草っぽい感じがどうも好きになれなかったのだけれど、最近になってようやく美味しいと感じられるようになってきた。味に慣れてきただけかもしれないけれど。
このあやかしは私と違い、一口で野沢菜おにぎりを気に入ったらしい。
「ああ、美味かった」
おにぎりをぺろりと平らげたあやかしは、満足そうに笑う。
ちらりと見えた八重歯が、何だか犬っぽい。
「そうかい。それは良かった。腹が膨れたところで、まずは君の名前を聞いてもいいかな?」