「ああ、いや……。昔、姫からも全く同じことを言われたなと思って」

「え、そうなの?」

「ああ。姫が死ぬ直前にな。
……あの頃の俺は、まだ人間の言葉を話すことも出来ないあやかしだったが、きっと俺がいつまでも姫のことを引きずるだろうと心配して、そんな風に言ってくれたんだろう」

「そっか」


きっと、優しいお姫様だったんだろうな。
生きる時代が同じだったならば、私も会ってみたかった。



すると東和は、小さく口を開き、独り言を呟くかのような小さな声を発する。



「やっぱり、葵と姫は似ている。似ているというか……千年の時を経て、ようやく見つけた……」

「え?」

小さな声だったのでよく聞こえずに、聞き返すけれど、


「……いや、何でもない」


と返される。


そして。



「葵……。今度は、俺の命に代えても、お前のことを護るからな」

「今度は……? さっきも護ってもらったけど……」

「こっちの話だ」

「ふーん……って、私の言ったこと通じてる⁉︎ 命に代えなくてもいいの! 自分を大切にして!」


東和があまりにも分かっていないから、私は照れるのも忘れ、怒るようにきっぱりと言い放った。