「おや、葵。そんなに顔を赤くしてしまって」

じいちゃんにそう笑われ、思わずハッとする。


まだまだ、完全に素直にはなれないから、



「赤くなんてなってない!」



と、ぴしゃりと否定する。
顔に熱が集中しているから、顔が赤くなっているのは自分でもはっきりと分かるのだけれど。



そして、東和と視線を再び真っ直ぐに合わせ、




「護ってくれるのは有り難いけど、いざという時は自分のことを優先してよね」




そう伝えた。




「大丈夫だ。俺は千年も存在しているあやかしだからな。よっぽどのことがない限り、死なない」

「馬鹿! そういうこと言ってる奴に限って早死にするのよ!


……あやかしだって自分のことを優先的に考えていいんだから、私のことばかり気にしないでよね」


……照れ臭さを隠しながらそう告げると、東和はなぜか目を丸くさせ、驚いたような表情で私を見つめる。



「……どうしたの?」

まさか、私が珍しく素直になったからびっくりしているのか?
もし、そんな理由でそこまで驚いた表情をさせたとしたら、少し落ち込む。