「基本的に、隠り世への入り口は閉じられている」

「何だ。じゃあ大丈夫じゃん。驚かさないでよ」

「だがな、この神社の……しかもちょうどあの鳥居の付近は霊力が集中していて、隠り世の入り口を歪ませている」

「え?」

「犬や猫の動物のあやかしがあの場所に集まりやすいのがその証拠だ。霊力の低いあやかしは、霊力を求めてああいう場所に集まりやすい」


そう言えば、確かにいつもあやかしが集まるのがあの鳥居だ。たまたまあそこに集まっているだけかと思っていたけれど、そんな理由があったのか。


「ここ数年、何事もなく平和だったと言うのなら、隠り世の入り口が歪んだのは恐らく最近のことだろう。
いつもあそこに集まる動物達は、そもそも成仏出来ずに現世を彷徨っているあやかしだろうが、隠り世の歪んだ入り口から、こちらの世界に入り込んでくるあやかしもいるだろう。さっきの青坊主が良い例だ」


青坊主……。なるほど。あの化け物は、その隠り世とかいう場所から姿を現したんだ。



『今まで一度も姿を見せなかったのに突然出てきたとなると、もしかしたらーー』


さっき東和が言いかけたのは、このことだったのか。