そいつは意外にも、端正な顔立ちをしていた。
人間で言うと、二十歳くらいの外見をしていて、長い前髪から覗く切れ長の瞳が、私をじっと見つめ続ける。


ーーもしかして、私殺される?


さすがに身構えたりはしたのだが、そいつは私を見つめながらゆっくりと口を開いた。



「……空腹だ」


……はい?


よく意味が分からなかったが……文字通り、お腹が空いているのだろうか?


ってことは、私、やっぱり食べられてしまう?


しかしあやかしは、再びその場に倒れ込み……というか寝転がり、落ち葉を布団代わりにするかのように、ぐうぐうと勝手に寝始めた。


何なんだ、こいつは?