「……え……」

弱々しく発した私の声は、風の音に虚しく掻き消される。



「……私を助けるために、戻ってきてくれたじゃん!」

震えそうな声を、喉の奥から必死に出す。
東和が逃げないように、東和の腕を両手でしっかりと掴んだ。
私の両手なんて、東和からしたら簡単に振り払えてしまうだろうけれど。



「そもそも、この神社を出て行ったのは、この神社で過ごす日々がつまらなかったからでしょ? 私と一緒にいても、楽しくなんかなかったからでしょ?

私だって分かってるよ、自分がつまらない人間だってことくらいは……。


だけど、じゃあ何であんなに優しい顔で私を守ってくれたの? 何で身を挺して、私を助けてくれたの?」