「ちょっと、大袈裟に転ぶのやめてよ」

最初に駆け寄ってきたのは、いつも絡んでくる三人組の、一番うるさい女子。

どうやら、こいつの投げたボールが当たったらしい。
真っ先に駆け寄ってくる辺り、今のはわざとではなかったようだけれど。


「先日の仕返しのつもり?」

何のことよ、と思ったけれど、そう言えばこの人、私が軽く突き飛ばしただけでわざとらしく転んでいたっけ。

そんなレベルの低い仕返し、私はしない。

でも、目眩が止まず、立ち上がれない。


「え、ちょっと……大丈夫なの?」

急に声に真剣な声で、私の顔の前にそっと手を伸ばしてくる。


でもーー私はその手を払い除けた。



「大丈夫だからっ」



こんな時だけ、中途半端な優しさはいらない。
私は一人の方が向いているんだから。


やっぱり保健室に行こうと何とか立ち上がるも、私の態度が、相手を逆上させてしまう。


「何なの⁉︎ 人がせっかく優しくしてやったのに!」

「優しくしてなんて頼んでないけど!」