突然そんなことを言われ、さすがの私も「え?」と聞き返してしまう。


けれど、時すでに遅し。

東和は私の肩を掴み、口を大きく開けた。

普段は唇の間からちらりと見える程度の八重歯が、急に太さと大きさを増し、それはまるでーー牙。
その牙が、私の首元に宛てがわれる。

ヒヤッ……と全身が凍り付くのが分かった。


ーー殺される!


咄嗟にギュッと目を瞑り、身構えるも……恐れていた痛みや感触は一切ない。


あれ……? と、目を開けると、東和が呆れた顔で私を見ていた。



「いつ死んでもいいなんて、全く思ってないじゃねーか」