「学校なんてつまらないもの。じいちゃんがうるさいから通ってはいるけど、嫌々通ってるだけ。友達もいないし、笑顔で帰ってくるなんてとんでもない話だわ」

「友達がいない? なぜ?」

「だって私、こんな性格だし。隠してる訳じゃないから言うけど、私、両親に捨てられてるの。理由は知らないけど、生まれてすぐにこの神社の前に捨てられていたみたい。だから、あのじいちゃんとは血が繋がってない」


そうなのか、と東和は答える。
東和の視線の先は相変わらず景色に向けられていて、私の話に興味があるのかないのか分からない。

でも、下手に同情されたり興味を持たれるよりは、その方が有り難かった。



「じいちゃんのことは好きよ。育ててくれて感謝してるし、大事な家族だと思ってる。でも、血の繋がった両親にすら愛されずに育った私が、じいちゃん以外の周りの人間を大切にするなんて無理。私、誰ともかかわらなくても生きていけるし」


私が話を終えると、東和はやっぱり「うん」と一つ頷くのみで、踏み込んではこない。


しかし。


「親に愛されなかったというのは、俺も同じだ」

急に、そんなことを言ってきたから、


「どういうこと?」

と反応せずにはいられなかった。