すると東和は、竹箒をカランと音を立てて地面に置いたと思ったら、突然ーー


「えっ?」


私のことを、いわゆる姫抱きしてきた。
両足が宙に浮いていて、思わず不安な感覚に陥る。

離してーーと言うよりも先に、東和はその場で軽くジャンプをした。
それは、人間のジャンプとは違い、強力なトランポリンでも使っているのかというくらいに、グンッと空に近付いていく。


「きゃあぁっ!」

堪らず、大声を上げた。
東和にしがみつき、ほぼ反射的に目を瞑る。

目を瞑っていたのは数秒だろうか。
東和に抱えられたままではあるが、空を飛んでいる感覚はなくなっていることに気が付き、恐る恐る目を開けるとーーそこは拝殿の屋根の上だった。