とは言え、平日の昼間は私は毎日高校に通ってため、その間は当然、東和と顔を合わせる必要もない。


東和はこれまで、持て余す程の時間を使って各地を巡っているとか言っていた。

それなら、早く私の家から出て行って、違う土地へ向かってほしい。
いっそのこと、ご当地グルメのカタログでも見せれば、そっち方面にさっさと旅立っていくのではないだろうか。


と、そんなことを考えながら、学校の廊下の窓から秋の山をぼんやりと見つめる。

澄んだ空に聳え立つ山は、真っ赤な紅葉に彩られている。

根っからのインドア人間なため、ハイキングに行きたいとは思わないが、こんな風に一日学校にいるくらいなら、あの山に行った方が楽しいだろう。


物思いにふけっていると、後ろからドンッ、と誰かにぶつかられる。


「あ、ごめん。全然見えてなかったー」