「ああ。ここは日向山(ひなたやま)神社と言う。神社の鳥居には君の他にもあやかしが集まりやすいから、もし良かったら仲良くするといい」

何だか、話がどんどん進んでいく。誰か、じいちゃんを止めてくれ。


「あ、しかし、あやかしといえど、働かざる者食うべからずだよ。東和君には、庭の落ち葉の掃除でもしてもらおうか。綺麗にしてくれたら、またおにぎりを作るよ」

「やるやる! 任せろよ!」

「任せられなくていいわよ! 頼むからやめて!」


誰も止めてくれないのなら、私が止めるほかない。しかし。


「じゃあ、葵が落ち葉の掃除をしてくれるか?」

「え」

「お前は、食事の支度はやってくれるが、他の手伝いはすぐ避けるからなぁ」


いや、だって。食事の支度は自分の為にもやるけれど、庭の掃除はしたところで、私の得にはならないし。面倒だし。


思わず言葉に詰まったのを、私がじいちゃんに降伏したと認識したらしい東和が

「よろしくな、葵」

と言ってくる。


「だから、気安く名前を呼ばないで!」


そんな訳で、あやかしの東和がこの家に居座ることになってしまった。