じいちゃんが私の名前を呼ぶと「お前は葵という名前なのか」と、東和が私の顔をまじまじと見ながら、言ってくる。


「気安く名前呼ばないでくれる?」

「ああ、すまない」


……そう素直に謝られるとこちらも調子が狂うのだけれど。


「まあまあ、葵。そのくらいにしないか。さて、東和君。君は見たところ、人間にとって害はなさそうだし、気が済むまでこの神社にいるといい」

「え⁉︎ ちょっと、じいちゃん⁉︎」


普通の犬や猫の姿形をした動物のあやかしならともかく、こんな人型のあやかしが居座るなんて、私は絶対に嫌だけど⁉︎


それなのに、東和も東和で。


「本当か⁉︎ さっきのおにぎり、また食わしてくれるか⁉︎」

と目を輝かす。