「やっぱり、君は人形じゃあないんだよ。証明しに行くかい?」
彼は優しく私の頭を撫でながらそう言った。私はゆっくりと首を縦に振った。
彼はもう笑いも泣きもしなくなって落ち着いた私の手を引いた。お昼ご飯は運ばれたまま虚しく部屋の中に残されていた。
私の歩幅に合わせてくれているようで、ゆっくりと進んでいく。木の大群をかき分け、山を下っていく。彼は何も言わなかった。ただ、少し怒ってるかのように思えた。私は、もしかしたら助かるのかもしれない。彼が、この地獄から助け出してくれるのかもしれない。そう思えて、嬉しかった。
…嬉しい?こんな感情は久しぶりに感じた。美しい彼は、私の救世主、旦那様だ。