試合後とは思えないほどの猛スピードで、駅へ向けて走った。
やがて、2本の巨大な主塔がそびえる建物が見えた。その入り口を抜け、銀時計へ。
待ち合わせスポットとして有名なそこには、たくさんの人がいた。
そんな人混みの中でも、俺はすぐに彼女を見つける。
「お待……ったせ……」
息が上がっていて上手く言えない。
「思ってたより、早かったね」
「……ん、まあ、走って来たから……」
「それは、見れば分かるよ」
そう言って、彼女は可笑しそうに笑った。
苦しいはずなのに、俺もつられて笑みを浮かべる。
「ねぇっ、行こう」
彼女が歩き出す。
追いついて、横に並んだ。
「どうやって帰るつもり?」
俺は尋ねた。
バスで来たから、単純に気になったからだ。
彼女は、ある程度想像はしていたが、それ以上にあっけらかんとした言い方で答えた。
「名鉄(名古屋鉄道)だよ」
テキトーだなぁと苦笑したが、これも全く彼女らしい。とはいえ、俺たちの住む豊橋まではかなりの金額がかかるだろう。財布の中身が不安だ。
「いいよ、拓海くんの分はあたしが出すから」
「……いいの?」
「だってこっちから誘ったんだもん」
「そうか、悪いな」
「いいの。一緒に帰れれば」
なんとなしの感じで彼女は言ったが、気づけば俺の頬は火照っていた。
いい感じだった。
改札へ向けて、俺たちは進み続けた。
辺りは相変わらずの人混みで、触れていないと彼女が何処かへ行ってしまいそうで、怖くなる。そして、
「なぁ美緒」
「ん?」
「手……、繋ごうよ」
……、が入ってしまった気がした。
でも、彼女はすぐに手を伸ばしてきて、その手は俺の掌に収まった。
女の子らしくて小さな手、細い指。
「「照れるね」」
ハモった。それが余計に恥ずかしくさせる。
「ほらっ。着いたよ」
彼女が、照れ隠しのように言った。
やがて、2本の巨大な主塔がそびえる建物が見えた。その入り口を抜け、銀時計へ。
待ち合わせスポットとして有名なそこには、たくさんの人がいた。
そんな人混みの中でも、俺はすぐに彼女を見つける。
「お待……ったせ……」
息が上がっていて上手く言えない。
「思ってたより、早かったね」
「……ん、まあ、走って来たから……」
「それは、見れば分かるよ」
そう言って、彼女は可笑しそうに笑った。
苦しいはずなのに、俺もつられて笑みを浮かべる。
「ねぇっ、行こう」
彼女が歩き出す。
追いついて、横に並んだ。
「どうやって帰るつもり?」
俺は尋ねた。
バスで来たから、単純に気になったからだ。
彼女は、ある程度想像はしていたが、それ以上にあっけらかんとした言い方で答えた。
「名鉄(名古屋鉄道)だよ」
テキトーだなぁと苦笑したが、これも全く彼女らしい。とはいえ、俺たちの住む豊橋まではかなりの金額がかかるだろう。財布の中身が不安だ。
「いいよ、拓海くんの分はあたしが出すから」
「……いいの?」
「だってこっちから誘ったんだもん」
「そうか、悪いな」
「いいの。一緒に帰れれば」
なんとなしの感じで彼女は言ったが、気づけば俺の頬は火照っていた。
いい感じだった。
改札へ向けて、俺たちは進み続けた。
辺りは相変わらずの人混みで、触れていないと彼女が何処かへ行ってしまいそうで、怖くなる。そして、
「なぁ美緒」
「ん?」
「手……、繋ごうよ」
……、が入ってしまった気がした。
でも、彼女はすぐに手を伸ばしてきて、その手は俺の掌に収まった。
女の子らしくて小さな手、細い指。
「「照れるね」」
ハモった。それが余計に恥ずかしくさせる。
「ほらっ。着いたよ」
彼女が、照れ隠しのように言った。