剣道の団体戦は先鋒(せんぽう)次鋒(じほう)中堅(ちゅうけん)副将(ふくしょう)大将(たいしょう)の5人で行う。
つまり、計5試合するわけだ。
試合ごと先に2本とったら勝ちで、時間内に勝負がつかない(1-1,0-0)場合は、引き分け。

とにかく3人勝てば、勝ち上がる事ができる。おそらく中堅までで決めてくれるだろう。
それだけ俺は先輩たちを信じていた。


先鋒の横井先輩は、難なく2本勝ち。
野嶋先輩も、面と小手の2本勝ち。

2対0。

中堅の武内先輩は、一瞬の隙を突いた打ちで1本勝ちを収めた。
これで、俺たち中央高校の勝利だ。

「相澤、長谷川(俺)、思い切りやれよ」

戻って来たばかりの武内先輩が、笑顔で言う。
もう勝負は決まったのだから、のびのびと自分の試合ができるだろう。

「うす」

剣斗は答えて、試合場へ入った。