アリーナのフロアへ下りると、中学の大会とは比べ物にならないほどの人がいた。
そしてどの人も体格が良い。

「すげえよな」

剣斗が呟く。

「……でもさ、拓。俺たちは負けない。先輩達と一緒に、全国のトップと戦うんだ」

さっきの引きつった顔が嘘のように、剣斗は闘志に満ちた表情をしていた。

「ああ、俺たちは負けない」

俺は応えた。
なんか青春だなとか、どうでもいいことを思った。

なんとなしに観客席を見上げると、最前列で美緒が手を振っている。俺は首から提げたお守りを高く掲げて、振り返した。
絶対に、勝たないと。

視線を戻すと、1つ前の試合が終わったところで、より一層緊張感が高まる。

一回戦の相手は、県立西商業。

これまでの地区予選の最高成績は、三回戦という学校。
大丈夫だ。勝てる。
そう言い聞かせて、自分を落ち着かせる。

両校が、コートの両側に分かれて、一列に並んで対峙する。

「お願いしますッ! 」

試合が、始まった。