どこに行く……というあてはない。


まだ二限目が始まる前だから、今ならと思って教室に。


教室の中に入ると……クラスメイトが気味の悪い物でも見るかのような目で、席に座っている摩耶を見ていたのだ。


その視線の先の摩耶は、月菜と同じようにノートに何かを書いていて。


目を見開いて、必死に眠気に耐えているのがわかる。


「摩耶、落ち着けって。そんな事をしなくても他にも方法はあるだろ?眠くならないように、俺がずっと話をしてやるから。な?」


「うるさい……うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!いつになったら私はぐっすり眠れるのよ!いつになったら悪夢を見なくなるのよ!!」


「そんな事言わないでくれ。頼むから……」


私はまだ、とてつもなく眠い……くらいで済んでいるけれど、摩耶は三度目の死を迎えた。


その苦痛とストレスは、穏やかだった摩耶を一変させるには十分だったのだろう。


ほんの一瞬で、限界を超えてしまったんだ。