世の中には実に理不尽な事がある。

もし一美と自分が付き合えば、健全且つ優秀な二人に世間は微笑ましい目を一瞬でも向けるだろうか?

そうすることで全てが上手く回って行くのではないだろうか?

結人は自ら問うてみた。

結局、自分のしていることも秋川や一美と同じではないか。

結人はそう思った。

万由香の事にしても結人は自分自身どこまで本気なのか分からないでいた。

将来、自分がこの平岩の家を背負って立つ事を十分理解しているからだ。

結人自身、来年大学受験を控え親の希望校へ入れたとして、

結人よりいくつも歳上のそれもBARの経営者との交際を両親が許すとは到底思えないでいた。