クリスマスに逢いに来るような男でもなかった。
ただ、プレゼントは何かしら。
花。アクセサリ。バッグ。・・・目に付いたものなんだろうって思う。

持って帰れないから自分のは要らない、って。
お財布に優しい男で助かる。

イヴを数日過ぎて、『今日、行く』。たったそれだけの短いメッセージ。

賃貸マンションに一人暮らしのわたしの部屋に仕事帰りに寄って。したいだけして帰る。
付き合いだけは長い。もう5年。前の職場の上司だった男。
見た目はまあまあで、わりと面倒見もいい方だから嫌われるタイプじゃない。

『・・・キスしていいか』

嫌なら拒めと、始まりから俺サマだった。
好きなものは我慢しないと堂々と言い切って。家庭を壊すつもりもないと、悪びれずに口角を上げた。

楽でいいかな。って思った。
何もあげなくていいのは。

何も持ってないから。
求められるのは苦痛だった。

だから結婚はうまくいかなかった。

分かってるから。
まるっきり独りよりはマシな気がして。


カラダだけを繋げるこの感情を愛って呼んでる。