「『どう』・・・か」

そっと覗き見した横顔に、仄かな笑みを乗せる先生。

「シンプルに好きって言ってくれればいい。一番大事なのは、そこでしょ」

「それだけ、・・・ですか?」

拍子抜け気味に。目を瞬かせたわたし。

「ん。好きなら、あとはあれこれ要らない。レンアイって普通はそうじゃないの?」

恋愛。口の中でなぞる。

自分はもう結婚しているから、恋愛は『別腹』っていう意味?
浮気も不倫も『恋愛』ってカテゴリー?

思わず先生を凝視した。

「俺と付き合ってくれませんか、新宮沙喜さん」

「先生、あの」

「イエス? ノー?」

「・・・・・・・・・・・・YES」

「よく出来ました」

繋がれた指にきゅっと力がこもって、嬉しそうに先生は笑った。

「俺を好き?」

一瞬。躊躇い。

「沙喜」

促すように優しく響いた声。
手遅れ。

そう言われた気がした。





「・・・好きです、先生が」





ユウスケの手ではめられた首輪の上に、もうひとつ。
手渡されたのを受け取って。・・・自分ではめた。