細かい部分までちゃんと見ていて、相手をグッと追い詰める。


だけど、今の俺にはそれを褒めることはできなかった。


「気にするな」


少し、キツイ口調で言う。


できれば突き放すようなことは言いたくない。


けれど、これ以上迫られると怒鳴るしかなくなってしまう。


「気になる」


案の定、キッパリと、俺の言葉にも戸惑う事なく言い切る優奈。


ため息をついて「いい加減にしろよ」と、睨みつける。


「お兄ちゃんに睨まれても私怖くない」


一瞬表情を強張らせた後、睨み返してくる。


その睨みが、かなり無理をしているように見えて、俺は神崎と目を見合わせた。


「いいじゃないか、教えてやっても」


「優奈はまだ14だ」


「俺が14の頃にはもう知ってたことだ」


「お前と一緒にするな」


「大丈夫だって、最近の子供は進んでるんだから」


自分だって最近の子供だろうが。


そう思ったが、声には出さない。


ここにいる三人ともが最近の子供だ。