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「で? その部屋には何があったの?」


昨日のファミリーレストランで、優奈がキラキラと瞳を輝かせながら聞いてきた。


まぁ、当然聞かれることだとは思っていた。


「それより、ハジメの演技は笑えたな」


優奈の質問をはぐらかして、神崎が思い出し笑いをする。


それは、つい数時間前、屋敷から出るときの事を言っている。


俺は、昼までまだ時間があって人の少ない店内を見回して、聞こえないフリをした。


「なぁになぁに?」


優奈の興味はすぐに、ハジメの笑える演技の話へと摩り替わり、今度は神崎へ好奇心の瞳を向けている。


そんな優奈へ、神崎が身振り手振りのオーバーリアクションをしながら話しを聞かせた。


「家政婦さんに『神崎君おかりします』っていうだけの間に五回は噛んだぞ」


「五回!? どうやって五回も噛むの?」


「だろ? 俺も信じられないよ。しかもあの顔……」


再び、思い出し笑いをする。


「何々? どの顔?」


優奈にそう聞かれ、神崎が俺の両頬を思いっきり引っ張り、「こんな顔」と言った。


ゴムのように伸ばされた俺の顔を見て、優奈は噴きだし、体をくの字に曲げて笑い出す。