その内、目の前に自分の姿が浮かび上がった。


懐中電灯を持った神崎と、その後ろで鏡の中の俺を見ている俺が写る。


「そんなに緊張すんなよ」


鏡の中の硬い表情を見て、神崎が振り向き、そう声をかけてきた。


「こんな時に緊張しない奴なんかいないさ」


俺は、まだ鏡に視線をやったまま、答えた。


二人並んだ姿を俺ははじめて見た。


思った以上の身長差と体格差に同じ16歳だよな? と再確認する。


「行くぞ」


ここまで来れた嬉しさを隠し切れない神崎の声を合図に、俺たちはその鏡を両手で向こう側へと押した……。