☆☆☆
だいたいの家庭のブレーカーは、脱衣所なんかについている。
アパートの場合は玄関を入ってすぐの場所が主流。
神崎邸はといえば……。
「なんでこんな所なんだよ」
小さめの懐中電灯で二段にわかれたクローゼットの中を照らしながら、後ろで俺の様子を見ているだけの神崎へ文句を言う。
「悪いな、俺の体がもっと小さかったら入れたんだけど」
嫌味にしか聞こえないその言葉に、軽く舌打をする。
クローゼットといっても、上段に入っているものは、ほとんどがむき出しになった状態の高価な陶器ばかり。
その値段は見た目じゃ決してわからないため、できれば中に入ることを拒みたかった。
しかし、ブレーカーはこのクローゼットの奥。
右側の壁の上についていると言う。
視界が悪い中、近くの陶器を恐々と移動させながら、上半身だけを入りこませる。
腕を一杯に伸ばして見えない壁を探る。
「大丈夫か?」
「ダメだ、手が届かない」
思ったより、クローゼットは奥行きがある。
「ハジメ、懐中電灯持っててやる」
「やっぱり中に入らなきゃダメか?」
「手が届かないなら、お前が入るしかないだろ」
当然だろ? そんなニュアンスを感じ取れて、俺は神崎を睨む。
だいたいの家庭のブレーカーは、脱衣所なんかについている。
アパートの場合は玄関を入ってすぐの場所が主流。
神崎邸はといえば……。
「なんでこんな所なんだよ」
小さめの懐中電灯で二段にわかれたクローゼットの中を照らしながら、後ろで俺の様子を見ているだけの神崎へ文句を言う。
「悪いな、俺の体がもっと小さかったら入れたんだけど」
嫌味にしか聞こえないその言葉に、軽く舌打をする。
クローゼットといっても、上段に入っているものは、ほとんどがむき出しになった状態の高価な陶器ばかり。
その値段は見た目じゃ決してわからないため、できれば中に入ることを拒みたかった。
しかし、ブレーカーはこのクローゼットの奥。
右側の壁の上についていると言う。
視界が悪い中、近くの陶器を恐々と移動させながら、上半身だけを入りこませる。
腕を一杯に伸ばして見えない壁を探る。
「大丈夫か?」
「ダメだ、手が届かない」
思ったより、クローゼットは奥行きがある。
「ハジメ、懐中電灯持っててやる」
「やっぱり中に入らなきゃダメか?」
「手が届かないなら、お前が入るしかないだろ」
当然だろ? そんなニュアンスを感じ取れて、俺は神崎を睨む。