そのページにヘアピンが挟まっていたから、自然とめくれたのだ。


「これ……」


本来の姿をなくし、いびつに折れ曲がったヘアピンを見て、俺はハッと気付く。


「ピッキング?」


そう聞くと、神崎は「大当たり」と言いながら小さく手を叩く。


「そんなことできるのか?」


「やったことがないからわからない」


「わからないって……」


また、文句を言おうとする俺を神崎の言葉が遮った。


「できるかどうかじゃなくて、やるんだよ」


キッパリと言い切る。


やるんだよ。


やるしか、ないんだ。


神崎の目がそう訴えてくる。


「部屋のドアくらいなら、なんとかなるかも」


手の中で、キラキラと小さく光るヘアピンに視線を落として呟く。


トイレのドアなんかだと、十円玉が一枚あれば開くものだってある。


だけど、それは鍵穴がないタイプからだ。


「こんなのも作った」