「なるほど、そうやって推理したのか」


考えてみれば誰でもたどり着く推理だった。


「うん」


「それで、監視カメラを欺く方法は?」


「それはね……」


優奈が、口元をニヤつかせながら『間』をつくる。


神崎があっさりその『間』にやられてしまい、隣で生唾なんか飲み込んでいる。


「山の天気は変わりやすいのよ」


「……は?」


俺は瞬きをして首を傾げる。


「しかも夜中よ、夜中」


「いや、言ってる意味がよくわからないけど」


「もう、頭の回転が悪いのね、お兄ちゃんってば!」


優奈が呆れたように大きなため息をついて、俺に睨みをきかせてくる。


それだけのヒントで理解する方がどうかしてると思うけど。


「もっと、ちゃんと説明しろよ」


神崎も理解できずにもどかしさを感じているのか、口調が少し雑になった。


「今は夏。温泉は山の頂上。つまり、山の頂上から下の天気はわからないってこと」


「それが?」