文句を言っても、やっぱり神崎は返事をしない。


仕方なく、俺も画面に見入ることにした。


それにしても……。


人間が残酷に殺されていくシーンを見ながら、思考は明後日の方へと進んでいく。


大人より大人な意見を持っていたり、いきなり泣き出したり。


まるでネコみたいな奴だよな。


人がずっと苦しんでいたことを簡単に笑い飛ばし、そこから救い出してくれたり……。


そんなことを考えてみても、当の神崎は真剣に映画を観ていてなにも気が付いていない様子だ。


しかたなく俺は、大理石のテーブルに置かれている小さな地球儀に触れてみた。


きっと、これも高価なものなんだろうな。


右手の中指でクルリとまわす。


この……。


この丸い星の上で、クルクルまわる星の上で、俺と神崎は出会ってしまった。


こんなこと言うと色々と勘違いされそうだけど、その一つの出会いはきっと運命で、二人になくてはならないものだったんだろう。


我侭なネコとそれに振り回される俺。


客観的に見れば、それ以上のものは見えてこないかもしれない。


だけど、それ以上のものが確かにここに存在する。