再婚するということは、名字も変わる。


そんなこと当たり前だけど、何故か雷を脳天に浴びたような衝撃を覚えた。


「西乃院流星」


と言ってみる。


なんだか似合いすぎていて逆にこわい。


神崎流星だからバカを言い合っていられたのに、西乃院流星となると変なことも言えなくなるような気がする。


おまけに成績優秀でスポーツ得意でカッコイイ。


そんな西乃院流星である神崎流星を想像してみた。


「嫌だな」


ポツリと呟く。


「へ?」


「嫌だな、俺。お前が神崎流星だから仲良くなれたのに」


「ハジメ……」


「中身は変わらなくても、名前だけで印象はかなり変わるよな」


「確かに。俺もそんな大そうな名字になるのにこのままでいいのか、とか思うしな」


腕組みをして考え込む神崎。


自分の性格の問題を言っているのかもしれない。


確かに、今の神崎は少々はしゃぎ過ぎで、常識知らずだ。