自分より背が高く力のある男を敵に回してしまった、馬鹿はお前だ。


なんて言葉が頭の隅っこで響いている。


そんな理性が戻ってくるにつれて、冷や汗が流れる。


「すこし、じゃなくて結構かもしれないけど」


小声で弁解をしてみるけど、もう遅い。


体がカッと熱くなり、クラクラする。


それが暑さのせいなのか、自分が取り返しのつかないことをしてしまったせいなのか、わからない。


「おい、ハジメ、大丈夫か?」


ほら、俺はな、お前のそういうところが嫌なんだ。誰に対してもため口で、呼び捨てで。


なのに誰にでも好かれてる。お前のそういうところが……。


それはすこしも言葉にならず、目の前の景色が一回転し、俺の思考は途切れた。