今日が終ればまた同じ日々の繰り返しだろ? お前も脇役を押し付けてくる教師や生徒と同じだ。


都合のいいときしか俺を見ない。


「確かに、今日は特に必要だ。だけど今日だけじゃない」


「なんだと?」


「ハジメ、俺の家に来たとき言ったよな? 『呼び捨てにすんな。俺とお前、全然仲良くなんかないんだからな』って」


「あぁ……」


「でも、今のハジメは『呼び捨てにすんな』とは言わなくなった」


神崎の言葉に、そういえばそうだった。


と、思い出す。


なんだかもう呼ばれ慣れてしまった。


「ってことは、『仲良くなった』ってことだろ? ハジメが俺を避けてたのは知ってた。家の前で30分も突っ立って悩むほど、俺との関わりを拒んでた」


「お前、知ってたのかよ」


なんだか脱力する。


神崎はすべて知っていたのだ、俺が作った大きな壁があることも、最初から知っていた。


それなのに、自分からやってきた。


「なぁ、ハジメ。俺はお前のことがずっと必要だ。今日だけとか、そんなこと言うな」


少し怒ったような口調だったけど、その言葉に吐き気がスッと軽くなる。


自分がマイナス思考なのは知っていた。