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目の前に並べられたハンバーグセットに、ラーメン餃子セットに、パスタと卵スープセット。


会議を始めて約一時間。


ちょうど十二時の音楽が店内に流れ始め、それと同時に腹時計が鳴った俺たち三人は、そのまま昼食をとることになった。


ファミレスならではの統一感のない食事がズラリと並ぶ。


ハンバーグセットを頼んだ俺は無言のまま箸を進める。


食べている最中に口を開いて、また優奈に怒られるのが怖いのか、神崎も今は大人しくラーメンをすするっている。


だけど、頭の中はフル回転しているハズだ。


優奈が提案した監視カメラを欺く(あざむく)方法を何度も何度もシミュレーションする。


現実的に考えて、こんな話は現実的ではない。


確かに優奈のひらめきで道は開けたが、神崎の両親が旅行にいくのは今日の夕方からだ。


よほどうまく行かなければ計画は失敗に終る。


「チャンスは今日だけだ」


あっという間にラーメンを平らげた神崎が、水を一口飲んでから言った。


俺はハンバーグを掴んでいる箸を止めて、その顔を見た。


真剣そのものだ。


「そうよ」


優奈が、神崎にではなく、俺に向けてその言葉を放った。