学校もいかずに日長一日そんなことを考えるなんて、よほどの暇人でも出来ないことだ。


と、いうより、そんなことをしていてよく怒られなかったものだと関心する。


今では神崎がド変人だと分かっているから、違和感もないけれど。


「もちろん、それだけじゃないぞ? 部屋に入る手段もちゃんと考えてた」


「神崎君、先にそれを言いなさい」


優奈の口調が元に戻り、俺も真剣な表情で神崎を見る。


「その手段って?」


身を乗り出して聞く優奈に、神崎はひとつ頷き「今日だ」と言った。


「今日の夕方から明日の昼まで、両親は家にいない」


「なるほど、絶好のタイミング」


「あぁ。一応新婚旅行ってことで、近くの温泉に一泊するんだ」


神崎の瞳がキラキラと輝きだす。


きっと、二週間前からこの時を待ちわびていたに違いない。


今にも、始めてオモアディオス与えられた子供のようにキャッキャと声を上げてはしゃぎ出しそうな瞳をしている。


「じゃあ、部屋に入る時間はたっぷりあるじゃない」


なぁんだ。


という感じで、優奈が唇を突き出して頬を膨らませた。


計画を練ることがなくなったので、探偵モードぶち壊し、といったところか。


「大丈夫だよ、優奈。問題はまだ解決してない」


俺はゆっくりとした口調で言った。


「え?」


「監視カメラだよ、忘れたのか? 名探偵」


「あ……! お、覚えてるわよ、もちろん」