優奈はパイプを吸うようにストローを持って訊ねる。


「はい、そうです」


突然はじまった質問に、刑事ドラマの取調べ室を思い出す。


優奈はちゃんとメモをとりながら、更に質問を続けた。


「それはいつ頃気付いたことですか?」


「えぇ~っと……。あそこに引っ越してからだから、二週間くらい前かな」


「それは確かですね?」


「たぶん……」


記憶が曖昧な神崎のかわりに俺が「間違いないよ」と、優奈へ言った。


「どうしてお兄ちゃんが知ってるの?」


「こいつが学校に来なくなったのが丁度二週間前だから」


俺は思い出しながら答えた。


「夏休みが始まって今日で十日目……流ちゃん、四日も学校行かなかったの?」


驚いたように声を上げる。


そういえば、優奈にはまだこいつが登校拒否児だと話ていなかった。


「あぁ。あの部屋が気になって仕方ないから、学校も行かずに考えてた」


「そんなことだろうと思ってたんだ」


俺はため息交じりに呟く。


さすがに優奈も驚いたように目を丸くして「部屋の中が何なのかを、ずっと考えてたの?」と聞き返した。


「そうだよ」


コクン、と頷く神崎に俺と優奈は同時に大きなため息をついた。


その様子を見て一人首を傾げる神崎。