小川は今日も変わりなく流れていた。
ブルーのボーダーTシャツに白のハーフパンツ姿の優奈が、背を輝かせて泳ぐ小魚に話しかけている。
その時、俺の後方に足音が近づいてきた。
待ち合わせは30分の遅刻。
「時間にルーズなんだな。部屋はきれいなのに」
「だから、俺は潔癖じゃないんだってば」
優奈と俺に謝罪のジュースを手渡しながら、神崎が言った。
真夏の太陽は相変わらず激しい。
『太陽がサンサンと降り注ぐ』なんて生易しい言葉じゃ表現できなくなったのは、一体何年前からだろう?
地球温暖化とか、新型ウイルスとか、人間はずっと昔から知っていたはずなのに、改善される様子はまだない。
見えないことろで頑張っている人たちはいるのだろうけれど、地球は早足で破滅へ向かっているような気がしてならない。
破滅といえば、俺自身もそうだ。
一番関わりたくないハズのクラスメイトと三日連続で顔をあわせている。
しかも、最近はそれが嫌じゃなくなってきてしまった。
「昨日、大丈夫だったか?」
歩きながら、神崎が俺の肩をポンと叩く。
見上げるほどデカい神崎にしたら、俺なんか可愛い女の子と似たようなものなんだろうな。
昨日もその前も、簡単に俺をかついでたし。
と、ちょっとその体を羨ましく眺める。
「お兄ちゃん、気分悪くなるとき多いのよ。生まれつき繊細なの、体が弱いの」
俺がイジメられていたことを知らない優奈が、かばうように言う。