☆☆☆

目を覚ますと、そこにはもう誰もいなかった。


ベッドに運ばれてからの記憶がない。


きっと、すぐに眠ってしまったんだ。


なさけない。


自分でそう思う。


神崎の前で二度も倒れてしまった。


最低だ、あの頃のトラウマが何度も何度もフラッシュバックしては、気分を悪くして倒れる。


こんな自分、もううんざりだった。


神崎だって、あいつだって傷を知っている。


傷の種類は違うけれど、父親の死を経験している神崎のだって辛かったに決まっている。


それなのに、俺はよくあるイジメのトラウマをいまだに抱え込んで生きている。


笑いたい。


神崎のように、笑いたい。


傷を乗り越え、心からバカを言い合いたい。


気付いたら、天井を見つめながら俺は泣いていた。


ゆらゆらと、涙の中で揺らめく天井。