その向こうに小さな公園ほどの広さの日本庭園が姿を見せた。


まるで、そこの部分だけ切り取って額に飾っているような錯覚に襲われる。


それほど、外の風景とは別世界だった。


始めて見る豪邸の庭に、俺は一瞬暑さを忘れたくらいだ。


「すげぇ……」


無意識の内に呟いたとき、目の前に人影が現れた。


驚いて後ずさりし、それから目をパチクリさせる。


そこに立っていたのはジーパンにTシャツというラフな出で立ちのクラスメイト、神崎流星だった。


てっきりお手伝いさんや執事などが出迎えてくれると思っていたので、目の前の神崎に言葉を失う。


だってそうだろう? これほどの豪邸で圧倒しておいて本人が『いらっしゃい』なんて出てくるとは思わない。


突然現れた本人に驚いたため、俺は相当おもしろい顔をしていたのだろう。


神崎が不意にプッとふき出した。必死に笑いをこらえる姿がムカツク。


笑いたけりゃ声を出して笑ってくれ。


俺の前でプッ……クックックと笑いを押し殺している神崎流星。


189センチもある身長に無駄な脂肪が一つもない肉体。


スポーツ万能で成績優秀。