「少なくても俺は入ったことない。母親もないと言ってた」


「なるほどね。やっぱり父親が一番怪しいわけだ」


「それはどうかなぁ」


俺は首を傾げて顎をさする。


「どういう意味よ、お兄ちゃん?」


「あれほどでかい家なら、お手伝いさんなんかが寝泊りしててもおかしくないだろ? その部屋がお手伝いさんの部屋だとしたら、監視カメラを仕掛けるのもおかしくない気はする。他人が家の中にいるのなら、用心にこしたことはないだろう?」


「なるほど」


優奈が腕組みをして、う~ん、とうなる。


眉間のシワに人差し指をあてるのは古畑仁三郎のマネだ。


必死で14年分の知識を掘り起こしている姿がとても可愛い。


「そんなに悩まなくてもその可能性はないから大丈夫だ」


あっけなくそう言われて、俺は隣の神崎を睨みつけた。


「どうして言い切れるの?」


「そうだそうだ、どうして言い切れるんだ」


優奈の言葉に俺は賛同する。