そんな例え方されても理解できない。


いや、俺はできるのだけど、隣で眉を寄せている優奈にはなかなか理解できないことだ。


「優奈ちゃん、男は見えそうで見えないってところがまた格別に好きなんだぞ」


神崎が真剣な表情でそんなことを言うので、俺は慌てて二人の間に割って入った。


「変なこと教えるな!」


結局、その後も俺たちのボケと突っ込みで話は進んでいった。


その間優奈は終始笑っていたのだけれど、話の整理をしているとどんどん真剣な表情へ変わって行った。


興味深々、という瞳を神崎に投げかけているので俺は不安になってくる。


「流ちゃんの家には秘密の扉があるのね!」


最近若者に人気のミステリー小説にハマッている優奈が声を上げる。


まぁ、確かに、家の中に自分の知らない部屋があるなんておもしろい話だ。


普通なら考えにくいが、あの城に最近引っ越してたばかりならあり得ないことでもない。


「で、その部屋へ入ってみたいってことか」


俺はあくまで『興味ない』素振りをみせながら言った。