俺は何がおこったのかしばらく理解できずに、一人で教室に立ち尽くしていた。


今の出来事を、頭の中で繰り返す。


VネックにGカップの谷間に汗の玉……舐め取りたい『よろしくね』


いや、違う。俺が頼まれた事はその前の……『神崎君』


その言葉を思い出した瞬間、俺は思わず奇声を上げた。


自分のカバンを机に投げつけ、誰もいない教室の中を暴れまわる。


どうしよう、どうしよう、どうしよう!! 咲田のやつ人を誘惑しやがって、いつかあの爆乳握り潰してやる!!! いや、そんなことより神崎の家に行かなきゃならなくなったことが問題だ。


大問題だ! あぁ、どうしよう!!!


どうしよう、の答えが出ないまま、俺は今ここにいる。


一番関わりたくないクラスメイト、神崎流星(カミサキ リュウセイ)の家の前に。


Gカップの谷間を頭の中から払いのけた後、俺は思いっきり空気を吸い込んだ。


アスファルトの焼けた匂いにむせ返りそうになるが、グッとこらえて、インターホンを押す。


普通の家ならチャイムの音が外まで聞こえてくるが、ここまでデカイと家の中の音は一つも届いてこない。


しばらくすると、鉄の扉が左右へ開いた。