俺が右手で口を塞ぐと、神崎は半笑いの表情でコクコクと頷いた。


「俺とお前は友達じゃない。仲良くもない。俺は、そんな奴とは遊べないんだ」


そう言うと、俺に口をふさがれたままの神崎が「う~う~」と、うなり声を上げた。


俺はそれを無視して「悪いな神崎。そういう事だから帰ってくれ」と、強引にドアまで連れて行く。


「アディオス!」


満面の笑みで神崎を部屋から送り出すと、すぐにドアを閉め、鍵をかける。


これで諦めて帰るだろう。


そう思ったが、甘かった。


餡子と生クリームを混ぜ合わせて、トッピングにホワイトチョコレートを乗せたくらいに甘い。


胸焼けがしそうだ。


「あ、流ちゃんプリン食べる?」


部屋の外で優奈の声がする。


嫌な予感がして、ドアに耳をへばりつけた。


「あ、食う食う♪」


神崎の嬉しそうな声に自分のこめかみがピクリと震えるのがわかった。


「なぁに流ちゃん、プリン好きなの?」


「俺大好物なんだ。うわぁ、マジうまそう!」


「あれ、お兄ちゃんは?」