「ところで神崎」


「はいはい?」


リズムに乗るような軽快な返事がくる。


「はい、は一度」


「はい」


「君は遊びに来た、と言ったね」


俺はゴホンと咳払いをして言う。


「はいはい」


「だから、はい、は……まぁいいや」


「ははは」


「で、遊びに来たって言ったね」


「言ったけど?」


「遊びって、友達同士でやるもんだよね」


「そうかな? 恋人や夫婦でもできると思うけど」


「まぁ、そういう仲のいい者同士でやるものだよね」


「そうかな? 今じゃ相手の顔もわからないまま遊べるゲームもある」


次々出て来る正論に、俺はまた大きな咳払い。


「神崎」


「はい?」


「お願いだから少し黙って聞いてくれ」