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「で、どうして来た?」


普段はまだベッドでまどろんでいる時間に、朝食を取ってしまったため、時間にかなり余裕がある。


と、言っても俺の用事なんて見たいテレビがあるくらいのものだけど。


「遊びに」


俺の勉強机で勝手にマンガを読んでいる神崎が顔も上げずに答えた。


「そうじゃない。お前、俺の家知ってたのか?」


「いいや、知らなかった」


「どうやってきたんだ?」


「つけてきた」


「つけて……?」


少し考えて、それから大きくため息を吐き出した。


「昨日の帰りか」


「あぁ。後をつけてても全く気付かれなかったから」


「何の為にそんなことした?」


全く悪びれた様子のない神崎に、俺はまた頭に血が上っていく。


神崎がようやくマンガ本から顔をあげ、それから「また倒れるかと思って」と、予想外のことを言い出した。