寝起きにこれほどの声が出るとは、俺自身ビックリした。


目の前の物体を思い切り押しのけ、ベッドから転げ落ちるようにして逃げる。床に頭を強く打って涙が出た。


「な、ななな、なんで」


「おい、頭大丈夫か?」


「何でお前がここにいるんだよ、神崎!!!」


俺は、俺のベッドの端に座って食パンをかじっている神崎流星を指差して言った。


「遊びに来たのよ」


その声に振り向くと、妹の優奈が同じく食パンを頬張りながら笑顔を見せている。


おい、ここは俺の部屋だぞ。


なんで、なんで、なんで神崎と優奈がここでまったり食パンなんか食べてんだよ!!!


そう言いたかったが、テーブルに置かれているカリカリに焼けた食パンと、パンの上でトロケながらダンスするバターの香りにお腹の方が先に返事をしてしまった。


「お兄ちゃんも一緒にご飯どう?」


優奈がニッコリとほほ笑みかけて来るので、脳内の怒りがプシュ-ッと音を立ててしぼんでいく


あぁ、もう、ちくしょう!!